Hyper Carronade

灰色のはい

バレンタインなのでくそ風強くて寒い中少し繁華街へ行きチョコを買いに行きました。ついでに原稿用紙とペンを。

チョコと言っても探していたのは普通のチョコじゃなくてルビーチョコでした。

ルビーチョコはミルク・ブラック・ホワイトに続く第四のチョコレートとして注目されている着色料なしでルビーカカオ豆とやらからとれた明るいピンク色をしたチョコレートで、最近スーパーのちょっとしたデザートコーナーでもこれを使ったスイーツを見かけるようになりました。

チョコ好きの私としては早くルビーチョコの味を覚えたいと思い、店頭でルビーチョコ商品を見つけては購入するようにしています。

希少そうだから普通の板チョコとして出る事は無さそう(あってもちょっと割高だろうな)だけど果たして定着するのかな?

味はフルーティなホワイトチョコみたいな感じでした。イチゴっぽいけどそこまで果実の酸っぱさとか青臭さは無く、フルーティって言葉が丁度いいくらいの感じ。これで普通のチョコと同じようにカカオ豆って言うんだから不思議だなーとは思います。思えばホワイトチョコもよく分からんな。なんで白いんだろう。

買ったのはラズベリージュレが入ったルビーチョコ。そのお店では他にも日本酒のジュレが入ったチョコなんかも置いてあったのですが、その見た目がすごい陶磁器みたいな不思議な模様とつやつや感で面白かったのでそっちも買えば良かったとちょっと後悔しました。でも空木日本酒チャレンジした事無いんですよね。お酒飲めないので。

バレンタインフェアみたいな感じで複数のお店が屋台みたいな感じでたくさん出店している形だったんですけど、ぐるっと回って見た感じ変わり種が多いな~って思いました。カラフルだったり変な形だったりスタイリッシュだったり、和風だったり。こういうのってやっぱりSNS映えを気にしたりするんだろうか。SNS映えブームには問題点も多いけど、面白い物とかきれいな物とかがこうして増えていくという面では良いよな。でも狙い過ぎにはご用心だね。そしてこのSNS映え商品が飽和した後はどうなっていくのかにも興味がありますね。変な物がショーウィンドウに蔓延る世界になるんだろうか。

チョコ買うついでにバイト探ししたのですが見つからず。

茶店はなんかお店側から連絡が来ないのでもうええかーってなってます。

やっぱり本屋かなあ。

アルバイト募集してるかなって覗くついでに入った本屋で「モディリアーニにお願い」という漫画を三巻分購入しました。

試し読みが出来たので一巻の最初の方を読んだらこれ絶対良い漫画だと思って思い切って平台に出ている巻全部レジに持って行った。一度に大きな買い物をする事に恐怖感がある私にしては珍しい事です。でも三冊で1800円は安かったな。

で読んだら案の定良すぎて一話ごとに大号泣しました。これはもっともっと評価されて欲しい漫画だ…。いやもう評価されているのかな?最近の書籍事情分からないけど、とにかくすごく良かったことを報告したいと思います。

私の薄汚れた脳から出る言葉では言い表せないくらいきらきらしてた。でもこのきらきらはビタミンって感じのきらきらじゃなくて、ガラスを通して目に入ってきた柔らかいきらきら。ガラスを覗く目のきらきら。美しいきらきらだった。有機的なきらきら。

田舎の美大が舞台なんですけど、良い言葉がたくさんあるし登場人物の葛藤が創作をしている人なら共感できる気持ちで余計泣けるし、救われる。人情物語の面もあってよく泣く登場人物達が愛おしくて、毎話最終回かってくらい泣いた。なんかジャンプ的な大胆な展開がある訳じゃなく1つも無駄なシーンも無くこんなに心を打つお話作りの強さがすごい。この気持ちはもしかしたら書き手のメッセージを受け取れた感覚なのかもしれない。受け取れたって言うか伝えられたって感じだ。

多分こんなに泣くのは私が涙脆い&美大中退して葛藤に共感度MAXだったからで、他の人が読んだらどう思うのか分からないけどね。

読んで、やっぱり舞台が美大なので自分の過去と照らし合わせてしまうんですけど、私は退学を悩んでいた時既に絵を描く事が嫌いだった。絵を描くこと自体というか、絵を描いた先にある講評とか将来とか自分への評価が付く事が怖かった。講評次第で自分の明日からの価値が決められてしまうんだと感じていた。漫画は課題として提出する気が無かったので自由に描けたからそっちの方が好きだった。そっちに逃げたいと思ってたのかもしれない。あのままどうにかして絵を描く事を好きでい続けることができたら貧乏でもきっと私も大学を卒業できたかも。

課題には必ず講評という日があって、毎回大勢の同級生の前で発表をして、大勢の同級生の前で褒められたり怒られたりする。それがすごく嫌で、あの十数分の内に自分の人生の全てを恥に変えられてしまう感覚がして、同級生への嫉妬とか怒りとかを自覚してどんどん自分が悪い奴になっていって、金銭的にも余裕が無かったからどんどん置いていかれて焦って、結果を出さなきゃって思うんだけど、結果の為に描く絵なんてくそつまらないんだよね。筆進まないから完成すらしないし。描いてる側がつまらないと思いながら描いた絵って自分が思ってるよりも見てる側にも伝わる。逆にめっちゃ楽しく描いた絵を提出した時先生は「描いてる時楽しかったでしょ?」って言った。ああ分かるんだって思った。つまらない絵を描いて怒られて焦ってまたつまらない絵を描いて…ってドツボにハマってたんだな。どこかで焦りとか重い汚い物全部打っ棄ってきれいな気持ちでキャンバスに向かえたなら、絵を描く事嫌わずに済んだのかな。先生の講評の言葉もナイフじゃなくてきらきらの魔法として受け取ることが出来たら、退学せずに済んだのかな。

もうたらればばかりだけど、なんか分かった気がする。私絵を描く事嫌いになったんだ。

最後にキャンバスに向かったのはもう5年くらい前だ。道具も実家の物置の一番上の棚にしまってある。

今はもう課題も講評も無い。

今どんな絵が描けるかな。

久し振りに絵を描いてみようと思った。今の私はどんな絵を描くのか、自分で見てみたい。

この漫画が自分の目に留まったのは幸運だったな。私の世界に飛び込んできてくれて本当にありがとう…。

 

 

あ、結局この本屋さんには求人情報の張り紙無かったです。