Hyper Carronade

灰色のはい

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今日はまず銀座に行き「続々」というデザインの展覧会を見に行き、その後上野に飛びフェルメール展、ルーベンス展、ムンク展をはしごしました。一日で4つの展覧会に足を運んだことになります。流石に筋線維がズタボロになるのを感じましたが充実した一日だと思います。少し詰め込み過ぎたかもしれませんが。

 

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 「続々」はギンザグラフィックギャラリーで今月の26日までやっている企画展だそうで、めっちゃ面白かったです。

絵の展覧会も良いけどこういうデザイン、アイデアと研究の集大成もすごく見ていて楽しいなあ。

入口入ってまず正面に見えるのが砂丘のような白い起伏のある台にしずくのように取り付けられた水槽とその中で泳ぐ魚。一枚目の写真ですね。この水槽シリーズの作品はとても綺麗でいつか別荘なんかこさえた日にはあらゆるところに飾りたいくらい素敵でした。創作の参考にもなるのでもっと写真撮れば良かった。

あと一番好きだったのは磁石の性質を持った、動く紙「動紙」という作品群。

色んな形に切られた紙切れが磁石の力でひとりでにひっくり返ったり移動したりもぞもぞしたり這ったりする作品。中でも動きの激しかった「這う」はズモモモモという音も相まって思わず笑ってしまうくらい面白かった。

あとは紙をレーザーカットを駆使して立体的に見せたりたっぷりした透明のインクの屈折を利用した作品など、なるほどな~よく考えてよくぞ形にしたなあと感心する作品がたくさんありました。

 小綺麗で整頓されていて、それでいて斬新。デザインって奥が深い。

 会場自体の雰囲気もちょっと暗めの照明で、BGMにエレクトロニカっぽいポコポコした音楽と、動紙の動く音が聞こえて、考えられて作られていたと思う。

入場料無料だし楽しいので見て損が無いおすすめ展覧会です。

 

今日ははしごするって決めてたので早めに家を出て銀座のギャラリーに着いたらまだ開いておらず30分暇をサンマルクカフェで潰しました。お洒落~~。チョコクロワッサン久し振りに食べたなあ。 ウィンナーコーヒーを飲みながら喫煙席でタバコを吸う。もう最高に都会の若者っぽい事できた。ウィンナーコーヒーおいしいな。インスタントコーヒーと缶コーヒーばかり飲んでいる舌からしたらお店のコーヒーってすごい上品な味に感じられるんですよね。今度ドリップコーヒーにもチャレンジしてみたいな。ちゃんと器具とか揃えて。最終的に量り売りの豆を選んで家で挽いてドリップしたコーヒーを飲んで暮らしたい。

 

次は上野で3はしご。フェルメール展、ルーベンス展、ムンク展っていう字面のカロリーの高さ。本当に一月から散財がすごいや。

フェルメール展はやっぱり現存作品が少ない為にフェルメール本人の作品は一部屋分しか無かった。それでも多い方だとは思う。流石に真珠の耳飾りの少女は無かった…。いつか私が生きている間に日本に来て欲しいな。

ほとんどが私の知らないようなオランダの画家さんの絵だった。やばい、はしごして色んな絵を見過ぎて既に記憶を失いかけてる。特に言う事が無い。

そういえば受付の人とかチケット千切る人とか青いターバンをしていて衣装も青系だった。かわいい。でも真珠の耳飾りの少女はなかったのだ…。

今回パンフレットがちゃんとした小冊子ですごい親切だった。キャプションが手元にあったので混雑している中でも絵が見やすかった。

肖像画、宗教画、風景画、静物画、風俗画と各ジャンルに分けられていて、最後にフェルメールの作品という構成だった。

油彩で描かれる海すごい好きなんですよね。上がった波の水の透明感とかが表現されているとテンション上がります。綺麗だもん。静物画の中で印象に残ったのが狩りの獲物のウサギとか鳥が緻密に描かれた絵。すごいもふもふ。ふわふわ。あと印象に残ったのはキャプションも併せてモレナールという画家の農民が遊んでいる絵。こういう生活風景画は戒めの意味を含むこともあるらしいが、この画家さんは喜劇的な風俗画を得意としていた画家さんらしく、キャプションに「本作も単純に鑑賞者を楽しませる目的で描かれたものだろう」とあり、なんか好きになった。楽しませる絵って素敵だなと思った。私が忘れている事だな…。

ムンク展、ルーベンス展でも思ったけどこういう昔の絵画には特に宗教画とかはモチーフや構図にちゃんと意味があって(例えば使徒ヨハネが鷲の姿で表されるとか)、それを見る側も知識があって何が書いてあるか理解できたっていう、貴族の娯楽感があって、私なんかまったく学が無いし無宗教な為にキャプション無かったら真の絵の意味が分からなくてただ綺麗とかかっこいいしか言えないのよね。これからもたくさん展覧会行くだろうし、絵は絵でもただの絵の具の塊の画面じゃなくてちゃんと思いやメッセージがある事を受け取れる学が欲しいと思った。

肝心のフェルメールの絵だけどあまりにも有名過ぎるので今更感想は特に無いけど、画集とか教科書でしか見た事が無かった絵が実物を間近で見ることが出来るのはどの画家であっても感動する。

いやあ混んだ混んだ。

 

次にルーベンス展を観た。西洋美術館に入るの何年振りかってくらいご無沙汰してたな。他の二つに比べると空いている方だったけどそれでも混んでた。

宗教画を描く画家さん。こちらもあまりにも有名な為に、あと私の宗教画への興味が浅いので特に感想は無い。けど肉体の描写がすごい。解剖学にも詳しいらしいというかこういう画家さんって皆自分の表現の為に研究熱心なんだな。模写したり分析したり。圧倒的な知識と熱量に裏付けされた絵だ。

印象に残ったのはマルスと、キューピッドに授乳するヴィーナスの絵。現実離れした宗教画達の中ですごく温かいありふれた家庭の様子に見えて目を引いた。マルスの優しそうな顔がまた良いな。マルスは軍神で争いを象徴する神で、それが美と愛の象徴であるヴィーナスの傍らで兜を脱ぎ盾を床に置いている。愛の前に争いは緩和されるというメッセージがあるらしい。キャプション見てすげーなるほどー!と思った。宗教画はやっぱり分かると楽しい絵画なんだなあ。

 

最後にムンク展。もうルーベンス展の半ばで情報過多なのか軽い眩暈に襲われてて見えないものが見えてきやしないか不安だったけど大丈夫だった。普段は1~2つしか見ないからね展覧会。

ムンク展はめっちゃめちゃ混んでた。有名な「叫び」が来てるからかね。

恥ずかしい話ムンクの作品「叫び」しか知らなかったので勉強の意味も含めて来たのですが、なんか絵も強烈なインパクトだけど作家自身が強烈な人だったんじゃないかと思った。どぎついという意味では無いんだけど、この人もまた創作に熱狂していた人なんだなと。

自画像や人間を中心に描く人で、特ににくにくしい人間の愛憎を主題にして描いていたらしい。その背景には家族との死別が関わっていると。

叫びの絵からもそうけど不気味でシュールで少し怖い絵ですね。なんていうかもうムンク自体が怖い。熱狂という言葉が似合い過ぎる。ホラー的な怖さではない、慄くって感じの怖さ。人間を、自分を、自分の子供達(作品)を愛していたんだっていうのが分かる。本当に強烈な展覧会だった。私の今日の記憶が曖昧なのは多分ムンクインパクトのせいなんじゃないかな。一気にムンク好きになった。

色は可愛らしい色なのに怖い。

木版画になるとすごいお洒落に見えますね。個人的に版画好きだから色眼鏡かも知れないんですけど。

好きな絵は展覧会最後に飾られていた最晩年の自画像と一番初めの方にあった「スペイン風邪の後の自画像」。後者は単に病み上がりの顔を描いてるムンク面白いなと思ったから。最晩年の絵はなんか、家族の死の情景を描いた絵よりも一番死を感じる絵だった。自分の死を真正面から見つめている。なのに悲壮感みたいなのは無い。シュールさがやっぱり不気味ではあるけどまっすぐなんだなあ。なんかよく分からないけどこの絵が一番好きだなあ。

叫びも見たけど結構小さかった。どこで知ったのか小さい頃から見慣れている絵であるからなんかあの顔見ると笑ってしまうんだよね。

あと度々出てくる水面に映る月の表現が好き。

 

お土産は一番最初の写真の通り、ムンクのピンバッジと缶バッジ。この缶バッジが、絵にワニスを塗るのを嫌うムンクの作風と合わせたのかざらざらしたキャンバスバッジっていう奴でとても良かった。ピンバッジはガチャガチャ。叫びで被ったからバッジは別の柄にすれば良かったと少し後悔。あとルーベンス展のアクリルマグネット。フェルメール展のは財布をロッカーに置いてきてしまったのでお土産無し。

 

いやー、充実した。

絵が描きたい欲が補充できた。でも疲れすぎたから今日はもう何もできなさそう。

 

移動時にずっと読み進めてた「レプリカたちの夜」も読破できました。

これは中盤まで読んでたら具合が悪くなったけど、最後まで読んだ今すごい良かったーと思う。面白かった。

自我と魂の存在、静物と生物、人間とそれ以外の境界についてのお話。多分。ミステリーSF。読んでると自分の輪郭だと思っていた境界がふやけて溶けてしまうような、とにかく具合が悪くなったな。読み終わって一瞬、実は私の世界もこんな感じなんだろうかと顔を上げて電車内で突っ立ってる人達を見回したけど、例えそうであったとしてもこれが私の認知している世界で、それを現実と呼んでいて、それで良いと思っているんだ。と思った。認知できなかった世界に干渉しない限りは。知らぬが仏ってやつですね。

歯車がかみ合わないような気持ち悪さ、居心地の悪さが中盤まではある。それを踏まえた上で夜になった後の展開がめっちゃ好き。うみみずさんかわいい好き。登場人物のキャラも立っていたな。

これがこの著者のデビュー作らしく、デビュー作にして衝撃作過ぎるでしょと思った。

難しい内容でうまく消化できてないからまともな感想かけないけど、読んでみたら分かるやつ。表紙の絵もかわいいので興味あったら読んでみて欲しい。