炊飯器と給水ポットが新品になった。
古くなって役目を終えたものは冷たい廊下に置き去りにされていた。
この二つがキッチンではなく廊下にあるのにひどく哀愁を感じた。
かなり長く使っていたように思う。給水ポットなんかは前の団地の時からずっと使っていたのでは。
私たちの食卓を彩っていた彼らがとうとう世代交代か……。
なんか、電気が通っている以上古くなって使い勝手が悪くなるのは仕方ない事とは言え、寂しいね。
かなりお世話になって、最後がこんな廊下に並べられてぽつんとさせているのもなんだか悲しくて不憫で申し訳なくて小声でありがとうございましたとお礼を言っておいた。それだけでいくらか許してもらえるような気がして。本当はお焚き上げみたくしてあげた方がいいんだろうな…。どれも人間の気休めの儀式でしかないけど。
道具には感謝しないといけないと思うんですわ。
道具も大事にしていけば道具も私たちの手の延長としてしっかり役目を果たしてくれると思うんですわ。
使わない家具の時間が止まるのと同じように、使って大事にしたら、道具はまた違う顔をするんじゃないかなあ。
と思ったのでした。